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鎌使いの文章倉庫

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□ 小説本編その2【トラシアでの戦い】 □

俺は世界を……【トラシアでの戦い・その6】

相手を指差すタイガとオレンジ色の魔物。
 二人の間にピリピリした緊張が漂う。いつ衝突してもおかしくないという緊張感だろう。
 タイガの様子に気づいたのか、周囲を飛び回っていた数匹のガーゴイルがオレンジ色の魔物を護衛するように地上に降りてくる。
「レツにーちゃん、後の事頼んだ」
タイガがふっとレツに言葉を残した。
 え?とタイガのほうを振り向いた時、すでにそこにタイガはいなかった。
 その代わりのように耳に飛び込んできたのは、ガーゴイルの断末魔の悲鳴だった。
 反射的にオレンジ魔物の方を向くと、護衛のために降りてきていたガーゴイル数匹が血飛沫を上げながら宙を舞っていた。
 その中心にいたのは返り血を浴びて血まみれになっていたタイガの姿だった。
 レツでも目で捉えるのがやっとの速さ。
 その姿はさながら狂戦士(バーサーカー)のようであった。
「タイガ!!」
「下がれ、死ぬ気か?」
タイガの元へ近づこうとしたレツの手をミカエルが握る。
「離せ!!」
「勇者が武器の力を解放した。迂闊に近づけば、我々も巻き込まれる」
ミカエルはそういうと、握っていた手に力を込める。
 絶対に近づくな、ミカエルの瞳はそう強くレツに語りかけていた。
「武器の力を解放って……」
「勇者が己の武器に秘められた力を解放した。ああなったら、敵味方区別なく切り刻むだけだ」
「それじゃ魔物と大差ねぇじゃないかよ!!」
「そうかも……しれんな」
ミカエルは苦虫を噛み潰したような表情でそう応えた。
 その間にタイガは護衛の魔物を全て切り刻むと、今度はオレンジ色の魔物に襲い掛かった。
 タイガの神速の攻撃に魔物もガードが間に合わず、顔面にその一撃をもろに受けた。
 魔物は吹っ飛ばされ、近くの民家の壁にめり込む。
 それでも勢いは収まらず、魔物は壁を突き破って家の中に消えていく。
 レツの蹴りですらビクともしなかった魔物を一撃で吹っ飛ばすタイガ。
 レツはタイガに魔物に似た恐怖すら覚え始めていた。
「ほぅ、経験はなくとも勇者は勇者か」
満足げな声が空にこだまする。
 次の瞬間、魔物が消えた家が粉々に吹き飛ばされ、中からオレンジ色の魔物が現れた。
 その顔面には先ほどタイガが与えた一撃がクッキリと残っていた。
「ならば、この俺、13魔将が一人、烈空のグリフィスがお相手しよう」
グリフィスと名乗ったオレンジ色の魔物は、タイガを挑発するように手招きする。
 その挑発にのるように光の速さと思える踏み込みでグリフィスに襲い掛かる。
 だが、挑発をしたグリフィスは迎え撃つ様子もなくただ立っているだけである。
「うおおおおおおおおおおおおお!!」
タイガは獣のような叫び声をあげながら、グリフィスの鳩尾に強烈なストレートを打ち込む。
 そのインパクトが衝撃となって、一瞬レツやミカエルを揺るがせた。
 並みの魔物なら粉々になっている破壊力である。
 だが、グリフィスは微動だにしないまま腕を組み不敵な笑みを漏らしていた。
「惜しい、実に惜しい」
グリフィスが本当に惜しげに呟く。
 タイガは一瞬にしてグリフィスから距離をとっていた。
 その身体は魔物の鮮血で赤く染まっていた。本人の血もあるかもしれないが血まみれ状況では区別する術もない。
 鍛えられ、均整の取れた体は大きく背中で息をしていた。
 どうやらあの攻撃はかなりの負担をタイガに強いるもののようだ。
 だが、その獣に似た目は明らかにグリフィスを獲物として認識しており、戦いをやめる様子は一向に見られない。
 レツたちはその様子を10m近くはなれた場所で見ているしかなかった。
「なんだよ……これ……」
普段のタイガとはかけ離れた姿に絶句するレツ。
「これが……勇者だ」
レツの言葉に、ミカエルが静かに答えた。
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