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鎌使いの文章倉庫

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□ 小説本編その2【トラシアでの戦い】 □

俺は世界を……【トラシアでの戦い・その5】

オレンジ色の魔物に立ちはだかる三人。
 だが、当の魔物には焦るどころか余裕の笑みすら浮かんでいた。
 この程度の人数、敵にすら値しないというところだろう。
「クソッ、バカにしやがって……!!」
タイガが憎々しげに呟く。
 だが、レツはいたって冷静だった。
 敵がこちらを見下しているのなら、逆に付け入る隙がある。
 そこを確実に突けばこちらにも十分勝機があると判断したからだ。
「俺が最初にいって奴をひきつける、タイガは後に続いて奴の隙を突いて攻撃してくれ。ミカエルは手数の多い魔法で俺達の援護を」
「おっけぃ!!」
「承知した」
レツの作戦に従うタイガとミカエル。
 レツが飛び出すのと同時に魔法の詠唱を始めるミカエル。
 タイガはしっかりと魔物の死角になる位置から突いてきている。
「紅蓮の火球よ、いまこそ眼前の敵を砕け、ファイヤーボール!!」
ミカエルが詠唱を終えると同時に、無数の炎の玉を指の先から放つのが見える。
 どうやら魔法のランクを下げて敵の足止めに特化したらしい。
 あのランクの敵に有効なダメージを与えるにはサザンクロスやガスティースラッシュ級の上級魔法でないと無理である。
 いくらミカエルでもそこまでの魔法を望むのは酷である。
 足止めができるだけでも十分だとレツは考えを切り替えた。
「無駄なことを……」
オレンジ色の魔物が翼で火球を受け止める。
 予想したとおり殆どダメージは入っていない。
 だが好都合だった。翼を防御に使ってくれたおかげで敵の視界が狭まり、空に逃げる可能性もなくなる。
「おらっ!!」
次にレツがわざと視界を塞ぐように飛び蹴りを入れる。
 硬い、鋼鉄のように奴の翼は固かった。
 並みの魔物の翼なら一撃で引きちぎるレツの蹴りを、危なげなく受け止めている。
 もし力加減を間違えていたら、こちらの足の骨を砕かれるところだった。
「人間とはつくづく愚かな……」
見下した態度で魔物がレツに語りかける。
「だったら、その愚かな人間に殺されて、地獄で懺悔するこったな!!」
普段のレツとは思えない凶悪な面構えで毒を吐くと、レツは反撃が来る前に後ろに飛びのく。
 これで布石は揃った。すでにタイガが勇者の武器を手に回避不可能な位置まで近づいていた。
「やれタイガ!!」
「うおおおおおおおおおお!!」
レツの声に呼応するように、タイガが唸り声を上げながら魔物の足元に肉薄する。
 タイガは翼の中に潜り込んだかと思うと、一瞬の溜めの後身体を真っ二つに裂くような強烈なアッパーを魔物に叩き込んだ。
 勇者の武器が激しく光り、光の柱が魔物を貫くような光景だった。
 やった、レツは思わず拳を握った。
「クソッ、まだだ!!」
そんなレツの淡い期待を費えさせたのは、他ならないタイガの一言だった。
 光の柱が消えた瞬間、魔物は巨大な翼を開き、その人間の上半身ほどある巨大な手でタイガを掴んだ。
 空中で体勢が変えられなかったタイガはあえなく魔物の手に落ちた。
「グライドルを倒したイレギュラーがいるという報告をきいてこの地を訪れたが……」
魔物は不満げにそう呟くと、手に力を込めタイガを握りつぶした。
「ぐあああああ!!」
骨が軋む音と、タイガの悲鳴が辺りに響く。
 レツとミカエルが助けに行こうとした瞬間、タイガを握っていた手から閃光が漏れ出した。
「こんな子供の勇者一匹か!!」
魔物怒号と共にタイガを握っていた手が爆発する。
 どうやらゼロ距離で攻撃を放ったらしい。
 木の葉のように宙を舞うタイガ。
 このままでは瓦礫の上に墜落する。
「くそっ!!」
レツは全力でダッシュして、スライディングでタイガの下に滑り込んだ。
 ボロボロに焼け焦げた格闘着の上着。上半身もいたるところに火傷の跡がある。 
 一瞬最悪の状況を考えたが、見た目ほどダメージはないらしく、タイガはすぐに意識を取り戻した。
「あんの野郎!!」
タイガはレツの身体の上から跳ね起きると、腰にしか残っていない上着の残骸を地面に捨てた。
 完全に頭に血が上ったらしく、上半身裸の姿で手に装着されたクローを天にかざす。
 どうやら何かを始めるつもりのようだ。
「レツにーちゃん、ミカエルのおっさん、下がってろ!!」
タイガはそう叫ぶと同時に、彼の右手に装着されたクローが再び激しく光りだした。
 しかも今度はタイガの身体を包み込んでいく。
 光に包まれた上半身には、すでに魔物に付けられた火傷の跡はなかった。
 どうやらあの光が傷を癒したらしい。
「コイツは俺がぶったおす!!」
完全に全身を光に包み込んだタイガは、魔物に挑戦状を叩きつけるがごとく人刺し指を指した。
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