鎌使いの文章倉庫

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□ 小説本編その2【トラシアでの戦い】 □

俺は世界を……【トラシアでの戦い・その3】

 その後3人は村の集会所で盛大な歓迎を受けた。
 品物の仕入れが滞っているはずなのにどこから用意したんだといいたくなるほどの料理の数々。 
 なんか申し訳ない気もしたが、残すのはもっと申し訳ないのでタイガと一緒に全てを平らげた。
 ミカエルは部屋の隅で酒の肴をつまみながら酒を口にしていた。
 まったく酔わないところが、別の意味で歴戦の勇者なのだとレツに実感させる。
 夜もすっかり更け、村長の娘との縁談話が出始めたころにレツたちは用意された宿屋へと向かった。
 途中で間違えて酒を口にしてしまったタイガがダウンしてしまい、レツの背中におぶわれて宿屋に運ばれた。
 部屋に着くなり、タイガは服を全部脱ぎ散らしてパンツ一枚になってベッドに飛び込み、早々に眠り込んでしまった。
 レツはタイガの服を畳んで枕元に置くと、蹴飛ばして床に落ちた掛け布団をもう一度タイガにかけてやる。
「にぃちゃん……」
「ん?」
「その唐揚げ俺の……」
タイガの寝言に思わずズッコケそうになるレツ。
 勇者というより、手のかかる弟だと内心思いながらレツはそっと部屋の外に出た。
「勇者は眠ったか」
レツを出迎えたのはミカエルの声だった。
 声の方を振り向くと、ミカエルが窓を背にして腕を組んで立っていた。
 満月の光に照らされるミカエルの姿は赤い髪に映えて、自分でもカッコイイと思えてしまう。
 悔しいが、何をやらせても絵になる男だ。
「休めるうちに休ませないとな」
「悪くない判断だ」
ミカエルはフッと笑うと、窓の外を見上げた。
「なあ、ミカエル。あんた傭兵なんだろ?もしよかったら俺たちと……」
「悪いが、その質問にイエスと言うつもりはない」
レツの言葉を遮るようにミカエルが答える。
「悪く思うな。お前達と同様に俺にも成すべき使命がある。それにこういう歓迎は苦手なのでな」
「そうか……」
「お前達はこれからどこに行くつもりだ?」
肩を落とすレツにミカエルが声をかける。
 そんなことを聞いてどうするんだろうと、レツは眉をしかめた。
「一応武器の管理人と合流するためにパラディアに行くつもりだ」
「そうか……」
ミカエルはそう言って視線をレツに向けた。
「実は私もそこに向かうつもりだ。パラディアまででいいのなら、同行させてもらおう」
「本当か!?」
ミカエルの言葉に、レツは1000人の兵力を得たような心強さを覚えた。
 魔法が使えることもそうだが、それ以上に剣の技が今まで会ってきた者の中でもずば抜けていたのだ。
 短期間とはいえ、これほど嬉しいことはなかった。
「これでタイガもかなり楽できるだろうな」
「随分と入れ込むのだな、あの勇者に」
「そうか?」
「勇者に名前をつけているのをみるのは私も初めてだ」
ミカエルに鋭いところを指摘されて、ギクリとするレツ。
「勇者と護衛というより、兄と弟のように見えるがな」
兄と弟。
 その言葉を聞いた途端、再びあの光景がレツの前によみがえってくる。
 沼地でのあの出来事。
 目の前で笑う弟、それが突然……。
 その記憶を遮ったのは爆発音と人々の悲鳴の声だった。
「やはりきたか……」
ミカエルが呟く。
「レツにーちゃん、敵だぜ!!」
ボクサーブリーフ一枚のタイガが部屋から飛び出してくる。
 ったく、人が一番機嫌が悪いときに……レツは険しい顔つきでナックル腕に装着した。
「私が先に出て様子を見る。お前は勇者の着替えを済ませて後から続け!!」
「お前は服着てからでてこいよ!!」
階段を駆け下りていくミカエルを尻目に、レツはタイガの腕を掴んで部屋の中に連れ戻した。
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