鎌使いの文章倉庫

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□ 小説本編その2【トラシアでの戦い】 □

俺は世界を……【トラシアでの戦い・その2】

 レツとタイガが門につくと、そこには十数匹の人型の魔物と、紙切れのようにへしゃげて転がっている門の残骸があった。
 そして、逃げ惑う住民を守るように戦う一人の剣士の姿がいた。
 歳は20代後半程度だろうか。紅の髪の毛、そして紺碧の軽装の鎧とマント。その手には髪の毛と同じ紅蓮の剣が輝いていた。
 その剣士は人型の魔物、『グール』十数匹を相手に、華麗な太刀筋で確実に敵を葬り去っていた。
 青い鎧とマントの前で振るわれる太刀は、まるで空を舞う赤い蝶のような美しさだった。
「俺達も続くぞ!!」
「おっしゃ!!」
レツに続いて、敵に飛び込むタイガ。
 まずはレツがミドルキックで体制を崩した敵を、タイガが一撃で葬る。
 その間にグールたちが二人を取り囲む。
「タイガ、一点突破だ!!」
「オッケィ!!」
二人で一匹のグールに攻撃を集中させる。
「だああああああああ!!」
タイガがグールの上半身に連打を浴びせる。
 動きが止まったところに炸裂したのはレツの重いボディーブローだった。
 その一撃はグールの腹部を貫く。
 崩れ落ちるグールを横目に包囲を抜ける二人。
 二人を追ってくる敵は背後から剣士が一気に切り伏せる。
 即席のチームとしては十分すぎる動きだった。
「やるじゃんか、アンタ!!」
「お前達もな」
そういうと、剣士はグールの攻撃ごと斬撃で真っ二つにしてしまう。
 レツも負けじとグールの頭を上段回し蹴りで吹き飛ばす。
「俺もいるぜっ!!」
タイガも膝蹴りでグールの顎を砕き、クローの一撃でトドメをさす。
 すでに半分近くの敵が3人の手によって葬り去られていた。
 剣士は剣を収めると、両手を掲げ魔法の発動の準備に入る。
 それを確認した二人は後退し、剣士のガードに入った。
「全てを焼き尽くす炎のマナよ、今我の呼びかけに応じ我が敵に灼熱の鉄槌を下せ、フレイムトルネード!!」
剣士の詠唱が終了すると同時に、残ったグールたちの中心で炎の竜巻が巻き起こる。
 成す術もなく炎に飲み込まれるグール達。
 炎の渦は10秒近く続き、炎が引いた時には黒い塊が地面に数個転がっていた。
 かつてグールであったモノである。
「すげー!!」
タイガがそういって飛び上がる。
 まるで花火を始めてみた子供だ。
 レツの方は魔法の方は見慣れていたのでそれほど驚きはなかった。
 むしろ、以前会った考古学者のほうが洒落にならない魔法を使っていた。
 しかし、剣を使うもので魔法を使うものが珍しいのも事実だった。
 剣士とは区別して、魔法剣士として丁重に扱うところもあるくらいだ。
「魔法が使えるのか、アンタ」
「傭兵という職業をしていると魔法は何かと必要だからな」
レツの問いに答えた剣士は、二人に背を向けて立ち去ろうとする。
「せめて名前くらい教えろよ」
「人に名を尋ねる時は自分から答えるのが筋だと思うが?」
剣士にもっともな正論をぶつけられ、思わず言葉に詰まるレツ。
「俺はレツ・ランページ、んでもってこいつはタイガ・ランページ。俺たちは……」
「……勇者とその護衛か」
剣士がレツの言葉の先を取る。
 隣でタイガが露骨に驚いている。レツも同じくらい驚いているのだが。
「なんでそのことを……」
「傭兵家業をしていると、いろいろな人と接するからな。なんとなく雰囲気でわかる」
そういうと、剣士はレツ達の方に向く。
 その瞳には、幾多の戦いで培ってきたのであろう鋭い眼光が輝いていた。
「それにしては悪くない連携だった。護衛によっては勇者を盾代わりに使う輩もいるからな」
「俺は勇者を、タイガをそんな風に使うつもりはない」
「私はそういう輩もいると話しただけだ。そのつもりがなければそれでいい」
そういうと、剣士は右手を差し出した。
「我が名はミカエル。流れの傭兵をしている」
レツはミカエルの手を強く握った。
 タイガも二人の手を上からギュッと握る。
「私はこれで失礼するといいたいところだが、そうもいかなくなったようだ」
ミカエルの言葉のとおり、3人の周りをこの町の住民達が取り囲んでいた。
 その中にはさっき話していたおばちゃんもいた。
 その異様な雰囲気に、タイガが手を離して身構える。
 レツも構えこそとらなかったが、警戒をしていた。
 ミカエルも鋭い視線を住人達に向けている。
 しばらくして街の長らしき老人が3人の前に現れた。
 何を言われるのか、3人の間に緊張が走る。
「勇者様、この街を守っていただき本当にありがとうございます!!」
老人の言葉を皮切りに、住人達からのありがとうございますコールが始まった。
 中にはタイガに拝みだす住人までいる。
 どうやらさっきのミカエルとの会話を住民に聞かれていたらしい。
「さっさと町を出たかったが遅かったか。まあ、今日一杯はこの街から動けなくなると考えた方がいい」
ミカエルは顔で手を覆いながら、ため息混じりにそうレツとタイガに言った。
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