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鎌使いの文章倉庫

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□ 小説本編その3【トウマ登場!!】 □

俺は世界を……【トウマ登場!!・その10】

 三人はなおも洞窟の中を歩き続けた。
 トランクス一枚のトウマは寒そうに身体を丸めながら二人の後をついてくる。
 幸い魔物にも出会わず、最初よりも速いペースで洞窟を進んでいく。
 10分ほど歩き続け、レツは急に目に飛び込んできた光に視界を覆われた。
 一瞬目を手で覆ったレツだが、しばらくして目が慣れてくると、そこに広がる光景に目を奪われた。
「外だ!!」
レツは思わずそう叫んでいた。
 ぽっかりと口を開けた穴からは、青空と雲が映っていた。
 出口から顔を出すと、外は緩やかな傾斜の岩場になっている。これなら降りていくことも可能だろう。
 そして眼下にはパラディアの大きな町が広がっている。
 外の風景に見とれているレツの脇の下からタイガがひょっこりと頭を出した。
「あれがパラディアかぁ」
そう呟くタイガの目が輝く。
 初めて見る大きな街に興奮を隠せないといった様子だ。
 狭い空間から開放され、レツは開放的な気分で背を伸ばした。
「あれ、チーコとミカエルじゃんか!!」
タイガがそう言って指差す先には、リュックを背負った猫と赤髪の剣士の姿があった。
 自分達の姿を見て、チーコが手を振りながらこっちに駆け寄ってくるのが見える。
レツは出口の岩に手をつくと、勢いよく外に飛び出した。
「外だぁぁぁぁぁ!!」
タイガも喜びの声を上げながら自分の後について外にダイブする。
「この格好でパラディアまでいくのか……」
か細い声でぼやきながら、トウマが最後に洞窟から這い出てきた。
 レツ達と合流したミカエルとチーコが真っ先に注目したのはトウマの姿だった。
 無理もない、トランクス一枚で洞窟から出てくれば誰だって変だとおもうだろう。
「野球拳でもしてたのかニャ?」
「なんでそーなんだよ!!」
チーコの発言に思わずツッコミを入れるトウマ。
「蜘蛛の魔物の糸に引っかかって……服脱いで逃げてきたんだよ」
恥ずかしそうにチーコに事情を伝えるトウマ。
 生き延びるためとはいえ、トウマとしてはあまりかっこいい行為とは思えないのだろう。
「でもさ、トウマすごかったんだぜ!!巻物から火出して、蜘蛛全部焼いちゃったんだ!!」
トウマをフォローするように、話に割り込むタイガ。
 実際は、自分が見た『すごいこと』をチーコに話したくて仕方がないのだろうけど。
「そちらでもブラックウィドウが出たのか?」
ミカエルが少し驚いた様子で尋ねる。
 ということは、ミカエルの側でも蜘蛛の襲撃があったのだろうか。
「って、ミカエル達も蜘蛛に襲われたのか?」
「ニャ」
ミカエルの代わりにチーコが肉球を見せて答える。
 二人には傷どころか、糸の屑一本すらついていない。
 きっとこの二人のことだから、恐ろしくスマートな戦いをしたに違いない。
「運良く蜘蛛の襲撃を察知できて、私がブレイズウォールで動きを止めているうちにチーコの魔法で殲滅させただけだ」
レツの予想通りの言葉を口にするミカエル。
 当たり前のことをしたといいたげな彼の態度に、やはりミカエルはただものではないとレツは改めて思い知った。
 そのミカエルに合わせて蜘蛛を一掃するほどの魔法を使うチーコも侮れないものがあるが。
 魔法のことを思い浮かべ、ふとレツの頭に疑問が浮かんだ。
 なんで蜘蛛に襲われたときトウマは魔法が使えたのかと。
「トウマ、さっきの炎の魔法って……」
「あれは魔法じゃなくて、忍術」
チッチッと指をふって間違いを正すトウマ。
 忍術という単語を耳にするのは、何年か旅をしてきたレツにも初めて聞く言葉だった。
「忍術って?」
「簡単に言うと、使い捨ての魔法だな」
「魔法の発動に必要なマナを巻物に込めて、それを開放することで魔法の素養がない者でも魔法が使えるようにしたものニャ」
レツの疑問に答えるトウマと、さらに詳しく説明するチーコ。
 さすがはチーコ、もしかしたら忍術用の巻物も扱っているのかもしれない。
「でも、忍術書は扱いが難しいからナビゲーターで使う人は少ないニャ」
「戦いに参加できるように練習したんだって、他所との差別化だよ差別化」
チーコの疑惑の眼差しをトウマは笑って誤魔化した。
 そんなとき、冷たい風がレツ達の間を吹いた。
 トウマの身体に一気に鳥肌が立つのがレツからでも確認できた。
「そんなことはいいからさ、長居すると俺絶対に風邪引くから、さっさと山降りない?」
内股でガタガタ身体を震わせながら、トウマがレツ達に提案する。
 レツでも少し肌寒いくらいなのだから、トランクス一枚ではさぞ寒いだろう。
 早く暖かいところに連れて行ってくれという懇願の眼差しをこちらにぶつけてくる。
「んじゃ、トウマのためにもさっさと下山するか」
レツの一言に、跳び上がって喜びを表現するトウマ。
 ぞろぞろと山道を下っていく中、最後尾を下着一枚のトウマがそろそろと付いていくのであった。
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