鎌使いの文章倉庫

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□ 小説本編その3【トウマ登場!!】 □

俺は世界を……【トウマ登場!!・その7】

 暗闇の中目前に迫ってくる地面。
 かれこれ5m近く落下しているはず。当たり所が悪ければ死ぬ高さである。
 着地体勢をとろうにも、タイガとトウマがしがみ付いてうまく体勢がとれない。
 無理に身体をひねれば、タイガやトウマを下敷きにしてしまう恐れすらある。
 切羽詰ったレツは土壇場で右腕を下に突き出した。
「こなくそぉ!!」
掛け声と共に気をチャージする間もなく気を放出するレツ。
 練りこまれていない気がまるでスプレーのように拡散して発射される。
 だが、それが幸いした。スプレーのように噴射された気は、ロケットの要領で衝撃を吸収したのだ。
 一瞬だけ体が浮き、30cmほどの高さから跳ねるように落ちる三人。
 見上げると、上から覗き込むチーコやミカエルが親指程度しかない。
 あの高さから落ちて傷一つないことに、レツは神に感謝したい気分だった。
 実はそんなもの信じてはいないが。
「い、生きてる!!」
「俺達生きてる!!」
レツの隣でタイガとトウマが抱き合ってお互いの生の喜びを分かち合っている。
 レツは喜ぶというより、半ば放心状態であった。
「おい、無事か!?」
頭上からミカエルの声が届く。珍しく動揺しているようだ。
 突然目の前で仲間が地面ごと落ちていけば慌てるのが普通なのだが。
 だが、三人とも無事なのを確認するとやれやれと言った様子で三人を見下ろした。
「自分の技で床破壊するなんて、救いがたいアホニャ」
チーコが呆れた口調でレツに言い放った。
 確かに自分が格闘バカでないことを証明するために、気の加減を忘れていた。
 なので、まったく返す言葉がなかった。
「これからどーする?」
タイガが上を見上げてレツに問いかける。
 周囲を見ても登れそうな崖ではない。
 仮に登れる部分があっても、あの程度の攻撃で崩落するほど岩が脆くなっているのなら人の重さに耐えられる保証はない。
 かといって、チーコ達をこちらに呼ぶのも無理がある。
 どうみてもパーティーを分断された好ましくない状況である。
「……この先、外に通じてるかも」
トウマが鼻で何かをかぎ分けながら、暗闇の奥を指差した。
 トウマの言うとおり、僅かに空気が動いているのがレツにも感じ取れた。
 つまり、この先に外と繋がっている場所があるということだ。
「この先に行ってみるか……」
退けないのなら進むしかない、レツは覚悟を決めるように呟く。
「登れないんじゃ、行くしかねーよな」
タイガはそういうと、景気よく右手の拳を左の掌にぶつける。
「そういう訳で、俺達三人で別の出口探すから、チーコとミカエルは先に出口向かってていいぜ。その先をひたすらまっすぐだ」
「ニャ」
トウマの言葉に応える様にチーコは肉球を見せると、ミカエルと共に上の穴から姿を消した。
 奥から流れてくる空気が洞窟の岩肌を笛代わりにして不気味に唸る。
 その声はまるで魔物の唸り声にも聞こえる。
「問題は外の出口が崖のド真ん中でしたーとかいうオチだった時なんだけど……」
トウマがブツブツとぼやきながらスペアのランプに火をつけ、あたりを照らす。
 あたりは鍾乳石に囲まれていた。静寂のなかで規則的に水が滴る音が不気味さを助長している。
 ランプに揺らめく影が、まるで魔物のように見えてしまう。
 場数を踏んだレツですら背筋に冷たいものが走るほどの不気味さだった。
「ところで道、わかってんのか?」
レツの問いに、トウマは首を左右に振った。
 トウマの頬を一筋の汗が伝う。その表情は緊張でこわばっていた。
「けど、こっからがナビゲーターの力量の見せ所だからな……」
空元気なのか、勝算があるのか定かではないが、トウマがニヤリと不敵な笑みを見せた。
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