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鎌使いの文章倉庫

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□ 小説本編その3【トウマ登場!!】 □

俺は世界を……【トウマ登場!!・そのその6】

 堆く積み重なったチョンチョンの死体を乗り越え、レツ達は洞窟のさらに奥へと向かう。
 幸い、他には魔物には出会うことなく、順調に洞窟を進んでいくことができた。
 洞窟も中ごろに差し掛かった頃には緊張の糸が張り詰めた雰囲気は消え、どことなく洞窟探検のような雰囲気すら漂い始めていた。
「ところでさ」
トウマが口火を切る。
「この中で誰が一番強いわけ?」
意表をつく質問に、その場にいたミカエルを覗く全員が顔を見合わせた。
「俺!!っていいたいけど、制限時間あるからなぁ」
少し残念そうに答えるタイガ。
「そんなものより、ビジネスセンスが欲しいニャ」
己の欲望に忠実に答えるチーコ。
「んじゃ、ミカエルかレツなのか?」
自分とミカエルを秤にかけるように見定めるトウマ。
「レツにーちゃんも強いけど、やっぱミカエルのほうが強いんじゃない?」
タイガが放った一言に、レツは思わずずっこけそうになった。
「な、なんでそう思うんだ?」
振り向き、努めて冷静に尋ねるレツ。
 だが、内心は動揺しまくっていた。
「接近戦はどっちも同じだけどさ、ミカエルは魔法使えるだろ?でも、レツにーちゃんは格闘しか能ないじゃん」
タイガの無邪気な一言がレツに突き刺さる。
「フッ」
ミカエルの笑いがレツに追い討ちをかける。
 確かに、タイガと出会ってからいろいろあって格闘ばっかしていたが……。
 その言い方はないだろうと。
 俺だっていろいろ使えるんだぞと。
 レツは心の中で叫んでいた。
「お、俺だって魔法使えない代わりに、ちゃんとした技あるんだぞ?」
「どんな?」
「それはだな……」
レツがタイガの質問に答えようとしたとき、背後からミカエルが剣を抜く音が聞こえた。
「どうやら無駄話はここまでにして貰おうか」
ミカエルの言葉に振り向くと、そこには体長5mを超える蜘蛛の魔物が待ち構えていた。
 黄色と黒の斑模様の全身に生える気色の悪い毛、そして8つの足に5つの目。
 レツも慌てて戦いの構えをとる。
「うわ、夢に出そう……」
トウマが気弱な声を上げる。
 普通のサイズの蜘蛛ならいいのだが、さすがに5mを超えるサイズだとレツでも気色が悪い。
 しかもこちらを餌と認識したのか、口の部分の足を細かく動かしながらこちらに迫ってくる。
「よし、俺が仕掛ける!!」
前に出ようとするレツをミカエルが静止する。
「いや、あのサイズでは魔法の方が効果がある。肉弾攻撃しかないレツでは不利だ」
「お前までいうか!!」
ミカエルの言葉に全力で突っ込みを入れるレツ。
 え?ちがうのか?と言いたげな表情のミカエル。
 ミカエルにすらそう思われていたことに、レツは情けないを通り越して怒りすら感じていた。
 俺だって伊達に選考会で優勝したわけじゃないことを証明しなければ、レツは心の中でそう固く誓った。
「いいだろう、俺が格闘バカじゃねーことをここで証明してやる!!チーコ、ミカエル、お前達は魔法で足止めをかけろ。いいか、足止めだけだぞ!!」
「つまりとどめはお前がさすのか?」
「そういうことだ!!」
レツはそういうなり、前に飛び出した。
「タイガとトウマは奴の注意を引け!!」
「ったく、誰のお守りなんだか!!」
悪態をつきながらレツの後から駆け出すトウマ。
 タイガもトウマの反対側の位置から蜘蛛のかく乱に回る。
 レツに蜘蛛の前足が巨大な槍のごとく襲い掛かる。
 だが、レツはそれを危なげなく回避すると、蜘蛛の頭を踏み台にして大きく跳躍をした。
「紅蓮の火球よ、いまこそ眼前の敵を砕け、ファイヤーボール!!」
「ニャにゃんにゃん、ふーにゃにゃー。ムーンライトレーザーだニャ」
ミカエルとチーコの詠唱が完了し、炎の玉と、黄色の光の矢が蜘蛛に襲い掛かる。
 光の矢は蜘蛛の足を貫き、炎の玉が全身の毛に引火し身体が炎上する。
 身体を焼かれた蜘蛛が劈くような悲鳴を上げもだえる。
「今だ、やっちゃえ!!」
タイガの声援に応える為にも、ここで無様な姿は見せられない。
 レツは両手の掌を合わせると、そこに練れるだけの気を練りこんだ。
 練りこまれた気が青白い光を放ち、まばゆい光が掌から漏れ出してくる。
 気を極限まで掌で練りこんだレツは、その掌を開き、気を蜘蛛に向かって一気に放出した。
「見ろ、これが俺様の必殺技だ!!」
青白い光の柱となって蜘蛛に襲い掛かるレツの気。
 それは一瞬にして蜘蛛の頭部を貫くばかりか、その地面までをまるで粘土のように貫いてしまった。
 気の直撃を受けた頭部はその周辺の組織ごと吹っ飛び、木っ端微塵に砕け散った。
 頭部を失った身体は地響きを立てながら地面に崩れ落ちた。
 気の放出を終えた、レツは本人なりに華麗に着地した。
 自信たっぷりに振り返るレツ。どうだ、俺だってミカエルに負けてないんだぞといいたげに。
「すっげーすっげーすっげー!!」
予想通り、タイガが目をらんらんに輝かせてレツに飛びついてくる。
 レツはタイガの身体を受け止めるが、その上からトウマが飛びついてくる。
 さすがに二人分のフライングボディプレスには耐え切れず、地面に尻餅をつくレツ。
「すっげー、見直したぜ!!」
「なーなー、さっきの何て技?俺にもできる?」
二人に質問攻めにあったレツだが、内心はそれほど困っていなかった。
 格闘バカの汚名を返上しただけでなく、タイガに対する威信も復活できたからだ。
「ふふふ、あれはだな……」
レツがミカエルの口調を真似をして説明をしようとしたとき、地面がピシリと割れる音がした。
 嫌な予感がしたレツは、ふと自分があけた穴に恐る恐る目をやった。
 レツの想像通り、穴を中心に無数のヒビが生まれ、その一部がレツ達の足元まで達していた。
 どうやら穴をあけられて岩盤が弱くなっていたところに、魔物が倒れこんだのが決定打になったらしい。
「やべっ!!」
レツが立ち上がろうとした時には、すでに遅く地面は砕け、奈落の底へと重力にしたがって落下を開始していた。
 ふわっっと身体が浮いたのと同時に、岩と共に暗闇に吸い込まれていくレツ。
 突然のことで、レツは魔物の死体と共にタイガとトウマを抱いたまま落ちていくしか術はなかった。
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