鎌使いの文章倉庫

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□ 小説本編その6【雷の平野で】 □

俺は世界を……【再会・その18】


 ゴウタの目には俺たちの姿しか映っていなかった。
 涎をたらし、今にも獲物に喰らい付くようなゴウタの表情に俺は戦慄さえ覚えた。
 狩られる者だけが感じる死の恐怖が俺の背中に覆いかぶさってくる。
 あのパワーに抵抗できる奴なんかここには誰もいやしないんだから。
「ここはボクが止めます!!」
ガレットがそう言いながら俺たちの前に立つ。
 腰を低く落としてまっすぐにゴウタを見据える。
 ゴウタもガレットを最初の獲物と決めたのか、ガレットめがけて突進してくる。
 武器が微かに光っていて、絆の鉄壁を発動させようとしているのがわかった。
 防御に特化した絆の鉄壁ならゴウタの一撃を止められる可能性は高いと思う。
 そのはずなのに、俺は嫌な胸騒ぎを感じていた。
「絆の……」
「ゲヘェァ!!」
ガレットが技を発動しようとした瞬間、ゴウタの姿がフッと消えた。
 残されたゴウタの涎がガレットの顔にかかる。
 ガレットが思わずそれを手で拭おうとした瞬間、ガレットの頭を何かが掴んだ。
 その手は紛れも無くゴウタだった。
 コイツ……ガレットに突っ込んでくるように見せかけて、ガレットのサイドに回りこんでいたんだ。
 アイアンクローの要領でガレットを持ち上げるゴウタ。ガレットも両手で外そうとあがくが、ピクリとも動かなかった。
 もう片方の腕はガレットの腹部を貫こうと硬く握り締められていた。
 あんなのでボディーブローされたら、いくら勇者だって内臓がグチャグチャになって……死ぬ!!
 俺は反射的に右手に気を込めながらゴウタに突っ込んでいた。
 外部から気を打ち込んだって効かないのは闇の国での戦いで経験済みだ。
 だったら右手の肘の関節に打ち込んで、内部から破壊してやれば……!!
「イッピキイイイイイイイイイイイ」
「させるかああああ!!」
ゴウタの拳がガレットの鳩尾を打ち抜くか、俺の気がゴウタの腕に打ち込まれるか、どちらが先か、その刹那の瞬間だった。
 俺の脇を光と影が同時に通り過ぎる。
「な!?」
何が起こったかわからず、俺は思わず足を止めていた。
 ゴウタの全身を黒い蔦の様な物が縛り付けていた。よく見るとそれは真っ黒な鎖だった。
 影のように平たく、まるで刺青の模様かと思うような鎖がゴウタの全身に絡みつき、動きを封じていた。
 それと……ゴウタの拳を全身で抑え付けようと奮闘しているタイガの姿があった。
 武器の力を発動させ、白い光に包まれたタイガですらゴウタの拳を抑えるので精一杯の様子だった。
 ジリジリとガレットに襲い掛かろうとするゴウタの拳を、タイガは苦悶の表情を浮かべながら何とかその場に留めていた。
「ダメだよ、こんなことしちゃダメだよおおおお!!」
タイガの魂の叫び声が響く。
「この馬鹿!!取り返しがつかねぇとこだったんだぞ!!」
イスケが怒りの満ちた声でゴウタを叱りつけた。
 彼の鎖鎌から影のような鎖が地面を這うように伸び、ゴウタの右足から全身に絡み付いていた。
 さっき俺の脇を抜けたのは、イスケの鎖鎌だったのか……。恐らくあれがイスケの武器の力なんだろう。
「レツにーちゃん、早く!!」
タイガが俺を促す。
 今は何とか押さえ込んでいるが、いつ振り払われるかわからない。
 ガレットを助けるのなら今しかなかった。
「うおおおおおおおおおおお!!」
俺は改めて気を練り直す。
 ガレットも考える余裕が生まれたのか、俺に合わせるように両手を重ね合わせて気を練りこんでいる。
 ゴウタもイスケ達の大事な仲間だ、いくら緊急事態だからってむやみに傷つけるわけにはいかない。
 敵に傷を負わせず、なおかつ簡単に相手を怯ませる事のできる身体の部分は多くない。
 今の状況ではそんな箇所は一箇所しかなかった。
「ガレット、ゴウタの顔面を狙え!!」
俺はそう叫びながら、ゴウタの顔面に気の塊を叩き付けた。
 もちろん怪我を負わせないように極力気を圧縮させず、手から離れたらすぐに弾ける様に調整して……だ。
 そうすることで、即席の目くらましになるからだ。
 ガレットも俺に合わせて気を放ったが、ゴウタにベアクローを喰らった状態でまともな集中もできるはずがなく、まったく練られていない気が手から放たれた。
 結果的に俺の放った攻撃と同じ効果になったわけだが。
 一応そこまで計算ずくでガレットに撃たせたわけだ。
「ガッ!?」
二人分の目くらまし攻撃にゴウタの体が大きく揺らぐ。
 突然の閃光で目が眩んで力だ抜けたのだろう、ガレットはゴウタの手を自力で外すと転がるように俺の元まで下がってきた。
「ガレット、無事か!?」
「は、はいっ。石頭だったのが幸いしたみたいです……」
ガレットは苦笑いを見せながら自分の頭を摩って見せた。
 確かに指の痣のようなものはあるが、それ以外にはたいした外傷は見当たらなかった。
「があああああああああ!!」
化け物のような声を上げ、ゴウタの腕がしがみ付くタイガを軽々と持ち上げる。
 目潰しで周りが見えず、闇雲に暴れまわっているんだろう。
 だけど今はそれがヤバい状況を生み出していた。
 タイガはまるで木にしがみ付くサルのようにゴウタの腕から離れまいと奮闘していたが、ゴウタの体格の前ではまさしく小猿同然だった。
 腕を振り回し、タイガを振り払おうとするゴウタ。
 タイガもそれに抗って必至にしがみ付くが、ゴウタのパワーの前には長くは持ちそうに無かった。
 下手に手を離せば、頭から地面に落ちて、最悪ゴウタのフットスタンプが炸裂する。
 そんな事になればタイガでも無事じゃいられない。
 イスケも黒い鎖でゴウタの動きを抑えようとしているが、ゴウタが動く度に振り払われそうになる。
 タイガも安全に離れるチャンスを見計らっているようだった。
 このままじゃ二人とも……!!
 俺は咄嗟に隣にいたガレットに目配せした。
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