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鎌使いの文章倉庫

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□ 小説本編その5【ガオウとの戦い】 □

俺は世界を……【ガオウとの戦い・その3】

 カイルを追って遺跡の中を走るレツ達。
 数分ほど走ってやっとカイルの後姿が見える。
 だが、そのときにはカイルは20匹以上のガルムの群れに包囲されていた。
 盾とマントを上手に使い攻撃を受け流し、すれ違いざまにガルムを切り伏せていくカイル。
 伊達に十字騎士の名を授かったわけではないのだろう。
 だが、倒しても倒しても後から後から仲間が駆けつけ、一向に減らないガルムに次第にに処理しきれなくなっていた。
「チーコ、トウマ、俺達がカイルの退路を確保したら一発でかいの頼む!!」
「ニャ」
「このトウマ様に任せておけって!!」
チーコとトウマにガルムの殲滅を任せ、レツはガルムの群れに飛び込んでいった。
 まずこちらに気づいて飛び掛ってきたガルムの顎をカウンターのストレートで砕き、こちらにまだ気づいていない奴の背中を踏み台にしてジャンプ。
 カイルの背後に着地した。
「遅いぞ、レツ!!」
「勝手に突っ込んでいったお前が言うか!!」
カイルのまったく反省してない態度に、半ばキレ気味になって答えるレツ。
 腹いせに近くにいた何もしていないガルムを蹴飛ばす。
 こういうときに限って魔物は役に立つのだ。
 少し遅れてタイガとカッツが魔物の群れを蹴散らしながら二人に元へ駆けつけてきた。
「レツにーちゃん、早く!!」
次々に襲い掛かってくるガルムを蹴散らしながらレツとカイルの退路を確保しているタイガとカッツ。
 カッツは未だに武器を使わずに、体術だけで戦っている。
 それが逆にタイガとの連携を容易にしているのだが。
「カイル、行くぞ!!」
「わかった!!」
レツとカイルは適当に敵を牽制すると、タイガたちが維持している退路をダッシュで駆け抜ける。
 レツとカイルが離脱したのを確認すると、タイガとカッツもその場を離れる。
「チーコ、トウマ!!」
全員が離れたのを確認したレツは、後ろで構えていたチーコとトウマに合図する。
 それと同時にチーコは詠唱を止め、トウマは巻物を咥えたまま高速で印を切っていく。
「ニャンニャンニャン♪タイダルウェイブニャ!!」
「忍法雷神、蔓朝顔の術!!」
チーコによって周囲にどこからともなく濁流が押し寄せ、ガルム達が一斉に飲み込まれる。
 そこに追い討ちをかけるように地面に敷いたトウマの巻物から高圧電流が発生し、水の中にいたガルム達は一斉に感電する。
 濁流の押し寄せる音と、いたるところでショートが起きる音、そしてガルム達の死の悲鳴。
 周囲は耳を覆いたくなるような地獄絵図と化していた。
 レツ達は先に石柱の上に避難しており、味方の魔法に巻き込まれることはなかった。
「カイルさんが突っ込んでくれたおかげで、このあたりの雑魚を一層できたみたいスね」
次第に水が引いていく様子を見ながら、カッツがポツリと言葉を漏らす。
 それを皮肉と捉えたのか、カイルが眉間にしわを寄せて鼻息を荒くして立ち上がった。
「お前、それどういう意味で……」
「言葉のとおりスよ」
そういうカッツの顔には、邪悪な笑みが浮かんでいた。
「おかげで目当ての奴を燻り出せた」
レツにはカッツの言葉の意味がわかっていた。
 さっきから痛いほどに感じている殺気。
 おそらくはここの遺跡の魔物を統括している魔物のボス。13魔将には及ばないが、並みの魔物を遥かに凌駕する存在感。
 ソレがこちらに近づいているのだ。
「おい、なんだありゃ!?」
トウマが遠くを指差し驚きの声を上げる。
 水が引き、いたるところにガルムの死体が打ち上げられている中を一匹の獣の魔物が歩いてくる。
 最初は他のガルムと大差ない大きさだと思ったが、すぐにそれは間違いだと気づいた。
 何十mも離れた場所にいる魔物と、すぐ近くにいる魔物が同じ大きさであるはずがない。
 つまり、目の前にいる奴は数mもの大きさの化け物ということになる。
 それが歩くたびに、地面にできた水溜りに微かな波紋が生まれる。
「真打の登場か……」
カイルが震えた声で呟く。
 タイガやトウマもその常識ハズレなサイズに怯えているようだ。
 恐らく冷静を保っているのはチーコと自分、そしてその魔物を待ち焦がれるように待っているカッツだけだろう。
「あのデカブツは俺が倒す。ランページさん達は取り巻きをお願いします」
「え!?」
カッツのとんでもない主張に、レツは思わず聞き返す。
 だが、カッツはいたって本気のようである。
「無茶だって、カッツ!!」
タイガもカッツの無謀な提案に待ったをかける。
 だが、今までのようにタイガの言葉に耳を貸すそぶりは全く見えなかった。
 もうカッツの目には目の前の巨大な獣しか映っていなかった。
 戦いに明け暮れ、戦いの中でのみ俺の生を実感する存在、狂戦死(バーサーカー)という言葉がレツの頭をよぎった。
「カッツ!!」
タイガの制止を振り切って石柱を飛び降り、自分の背丈の3倍以上ある大きさの魔物に突っ込んでいくカッツ。
「マニュアルとか経験とか言う以前にそりゃマズいだろ!!」
カッツを追うようにカイルも柱を飛び降りる。
「タイガ、俺達も追うぞ!!」
「おう!!」
レツとタイガも柱から飛び降り、カイルの後に続いてカッツを追う。
 魔物を見つめるカッツの瞳、その中にレツは非常に危うく、危ないものを感じていた。
 カッツを止めなければ、レツとタイガは足を速めた。
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