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鎌使いの文章倉庫

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□ 小説本編その5【ガオウとの戦い】 □

俺は世界を……【ガオウとの戦い・その4】

 一人先頭を突っ走るカッツ。
 それを追うレツ、カイル、タイガの三人だがその差は縮まるどころか、ますます広がっていく。
「どういう足の速さだありゃ!?」
足の速さでならちょっとやそこらでは負けないはずのレツが思わず弱音を吐く。
 そろそろカッツが大型の魔物の取り巻きのガルムと接触する。
 カッツは進路の邪魔になるガルム2、3匹を蹴りで葬り去ると、そのまま大型の魔物へ直行する。
 巨大な獣はカッツに気づくと、その巨大な前足を振り上げカッツに振り下ろす。
 カッツはそれをジャンプで回避すると、ジャンプ回し蹴りでカウンターを入れるが獣はふらつきすらしない。
「間違いない、あれはケルベロスだ!!」
カイルが巨大な獣を指差し叫ぶ。
「ケルベロス?」
「ガルムの上級の魔物だ。熟練の十字騎士でも一匹倒すのに数人がかりじゃないと危ない」
「マジか!?」
「もっとも、普通のケルベロスはあれの3分の1だがな!!」
カイルから説明を聞いてるうちにレツ達もケルベロスの近くへと到着した。
 巨大ケルベロスと戦うカッツを援護しようとレツ達も近くへ行こうとするが、取り巻きのガルムがそれを阻む。
「くそ、マジウザい!!」
数で押してくるガルムをクローで退けながら、タイガが叫ぶ。
 前に進もうにも、ガルムの数が思ったよりも多くその場に留まって応戦するのが精一杯なのである。
 その間にもカッツは巨大ケルベロスのパワーに苦戦を強いられているようだ。
「くそっ!!」
レツが目の前のガルムに拳を打ち込もうとした瞬間、黒いナイフのようなものが勢いよくその腹部に突き刺さった。
 犬のような鳴き声をあげながら地面を転がるガルム 
 一体誰が、投げた主の方を向くとそこにいたのはトウマだった。
 その左手にはさっきガルムに投げた黒いナイフが握られている。
 レツはそのナイフに見覚えがあった。投げることがメインのナイフで、たしかくないと行ったはず。
「真打登場!!」
少し遅れて到着したトウマとチーコが戦列に参加する。
「チーコ!!」
「言われなくてももうやってるニャ」
すでに勝手に呪文の詠唱を始めているチーコ。
 踊りの間にアドリブで近づいてきたガルムの頭をハンマーでたたく。
 叩いた時にピコと可愛らしい音がする割には、ガルムはキャンと情けない声を上げて逃げていく。
 どうやら相当硬いらしい。
 それでも追い払えない敵はトウマがくないで追い払っている。
「しばらくの間雑魚を頼んだ!!」
「ンなことだろうと思った……ぜ!!」
トウマが力みながらくないをガルムに投げた。
 そのくないはガルムの目に突き刺さり、ガルムは悲痛な悲鳴をあげて地面を転げまわる。
 ガルムの注意が一人と一匹に集中した隙を狙って、中央突破をかけるレツとカイルとタイガ。
 邪魔な敵だけを蹴散らし、親玉ケルベロスに向かって突っ込む三人。
 後ろから追いかけてくる敵はトウマが放ったくないが容赦なく突き刺さる。
 三人が駆け抜けた直後に、猛烈な冷風がレツの背中に吹き付ける。
 振り向くと、無数のダイヤモンドダストが宙を舞い、ガルム達が次々と氷漬けにされていくのが目に入った。
 チーコの魔法が発動したのだろう。
「あの勇者、押されてるぞ」
カイルが指摘するとおり、カッツはケルベロスに壁際にまで追い詰められていた。
 逃げ場のなくなったカッツに覆いかぶさるようにケルベロスの顔が近づく。
 カッツも怪我こそしてはいないものの、額から汗を流し、息はかなり荒れていた。
 だが、そこまで追い詰められていてもなおカッツの顔から不敵な笑みと闘志の輝きだけは失われていなかった。
「あまり俺をガッカリさせるなよ」
場違いともいえるセリフを言うと、カッツはポケットに突っ込んでいた右手を出し背中に背負われた包帯だらけの物体を握った。
 そしてそれを勢いよく引き抜き、左手で包帯を勢いよく引きちぎった。
 ケルベロスの息に飛ばされ宙を舞う包帯。その中から現れたのは、一振りの白銀に輝く斧だった。
 あの白銀に輝く金属には見覚えがあった。
 タイガの武器にも使われている金属、つまりあの斧がカッツの勇者の武器。
「最後まで生かしてやったんだ。少しは楽しませろ」
カッツはそういうと、斧の重さなど微塵も感じさせない跳躍を見せた。
 軽々とケルベロスの頭上を飛び越え、下降の勢いを利用してその額に斧が振り下ろされる。
 斧のインパクトの瞬間、何かが砕けるような音が辺りに響き、ケルベロスは地面に強く叩きつけられた。
 何とか立ち上がるケルベロスだが、額からは大量の血を流し、立っているのもやっとな状態のようである。
 一瞬で形成を逆転させたカッツに、レツ達は味方でありながら戦慄を覚えざるを得なかった。
「あれが……勇者……」
同じ勇者であるはずのタイガが思わず呟く。
 タイガも並外れた力を有しているが、カッツはそれを遥かに凌駕していた。
「少しは楽しめたな。礼を言う」
身動きも満足に取れないケルベロスに斧を突きつけ、カッツは勝利を宣言した。
 ケルベロスも唸り声を上げるのが精一杯のようで、完全にカッツに気圧されていた。
 もう勝利は目の前だろう、レツ達はその様子を食入るように眺めていた。
 だが、カッツはタイガの姿を目にした途端動きを止めた。
「おい、タイガ、さがれ!!」
カッツの突然の叫びに思わずビクッとするタイガ。
 レツは一瞬でカッツが言いたいことを理解した。タイガはカッツの様子を見ようとするあまりに、前に出すぎていた。
 そう、ケルベロスの尾のリーチの中に。ケルベロスはこの瞬間を狙っていたのだ。
 だが、カッツが叫ぶと同時にケルベロスは人間の胴ほどある尾で薙ぎ払った。
 タイガは横から襲い掛かってくる尾に気づくのが一瞬遅れ、回避のタイミングを失ってしまっていた。
「うわあああああ!!」
悲鳴を上げるタイガ、尾が目前まで迫ってくる。
 だが、攻撃が当たる直前に白い影がタイガを突き飛ばした。
 タイガの身代わりに吹っ飛ばされる白い影。
 その影の正体にタイガは気づいていた。
「カッツ!?」
レツは白い影の正体の名を呼んだ。
 タイガを突き飛ばした瞬間咄嗟に防御の体制を取ったが、巨大な尾の前では殆ど意味を成さなかった。
 10m近くまで吹っ飛ばされたカッツは遺跡の石柱に激突し、地面に叩きつけられた。
 その場に蹲っているカッツに狙いを定めたケルベロスは人間など一飲みにできるほどの巨大な口を開けカッツに突進していく。
 とにかくカッツを保護しないと、レツは全力でケルベロスの後を追った。
 数秒してカッツがアバラを右手で庇いながらゆっくりと起き上がる。
 どうやら肋骨をやられたらしく、まだ立ち上がることもできないようだ。
 その間にもケルベロスは大口を開けてカッツに襲い掛かる。
 あと数秒でケルベロスはカッツに襲い掛かるだろう。だめだ、間に合わない。
 だが、カッツの前に白い盾が現れた。
「カイル、ナイス!!」
間一髪で間に合ったカイル。
 ケルベロスはそんなカイルにお構い無しに、周囲の地面ごとカッツに喰らいつく。
 だが、カイルの盾がそれを阻んだ。
 それだけではなく、カイルの盾を口に突っ込んだせいで盾がつっかえ棒の役割になって口を閉じられなくなったのだ。
 しかも口の奥深くに突っ込んだせいで、盾が歯茎に食い込んで吐き出すこともできなくなっていた。
 盾によってカイルとカッツを喰らうことができなくなったケルベロスはのしかかるように、二人を押しつぶそうとし始めた。
 ケルベロスの体重によって次第に押しつぶされていくカイルとカッツ。
 レツがスライディングで盾の下に入り込み、カイルと共にケルベロスの頭を押し返す。
「カッツ、無事か!?」
少しだけ押し返して余裕が出たところでレツは後ろにいたカッツに声をかけた。
 カッツは右の肋骨の辺りを手で押さえながら、ゆっくりと立ち上がった。
「……」
カッツは無言で左手で服についた埃を手で払う。
 彼の目には殺意と憎しみが渦巻きながらケルベロスを映していた。
 完全にレツ達に注意がそれたチャンスを狙って、タイガが尻尾からケルベロスの背中の上によじ登る。
 そして身をよじる隙を与える間もなく、背中をダッシュして頭の上までたどり着いた。
「よくもカッツを!!」
荒々しい叫びと共にタイガが高々とジャンプをして、ケルベロスの脳天に自分の体重を乗せた拳を叩き込んだ。
 地響きのような音と共にケルベロスの頭部が地面にめり込む。
 その衝撃で盾が外れ、レツとタイガは後ろに倒れこんだ。
 カッツがさっき斧を叩きつけたところと同じ場所である。再び血が吹き上がり、ケルベロスは苦しむよう暴れる。
「アーススパイクニャ!!」
チーコの声と同時に、ダメ押しと言わんばかりに地面から生えた棘がケルベロスの腹部に突き刺さる。
 その攻撃に大きく体勢を崩すケルベロス。
 ケルベロスを葬るのならこのチャンスをおいて他はなかった。
「楽しむのはなしだ」
カッツはそういいながら、斧を天高く掲げた。
 斧はまばゆい光を生み出し、タイガが武器の力を解放したときのようにカッツの身体の周囲を包み込んでいく。
 カッツはレツの目ですら捉えられないスピードで、文字通り一瞬でケルベロスの首の真上までジャンプしていた。
 そして光に包まれ、何倍にも巨大化した斧を上から下に一気に振り下ろす。
 次の瞬間、ケルベロスの首と身体が文字通り真っ二つになっていた。
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