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鎌使いの文章倉庫

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□ 小説本編その6【雷の平野で】 □

俺は世界を……【雷の平野で・その5】

 ステラはえらく値の張りそうな花束をレツに手渡すと、タイガとカッツの横たわるベッドの中央に二人に視線を合わせるように屈んだ。
 タイガは少し照れながら彼女の目線から逃れられずにじっと目を合わせている。
「二人とも思ったより元気そうで良かったわ」
ステラは二人が元気だったことに安心したように微笑むと、タイガの頬に手を当てた。
「大丈夫よ。この国にいる限りは、私達が絶対に手を出させないわ」
ステラはそういうが、タイガやカッツは懐疑的といった様子でステラを見ている。
 彼女もタイガたちの反応は重々承知の上といった様子で、笑顔を絶やさない。
 そんな彼女の様子がタイガの表情を少しだけ綻ばせた。カッツは相変わらずの無表情だが。
「でも、13魔将ってメチャつえーんだぜ?」
「この国は13魔将4人同時に相手して退けた経緯があるわ」
「マジで!?」
驚きのあまりタイガが病室じゅうに響き渡る声で叫ぶ。
 その声にうつらうつらとしていたトウマとカイルが飛び起きた。
「俺もその話なら聞いたことあるぜ。パラディアでさえ13魔将3人で一度陥落したのに、雷の首都エレクトロメリアは4人相手にしても陥落しなかったどころか敗走させたって話だろ?」
寝起きのトウマが大あくびをしながら説明をする。
 となりではカイルが腕組みをして面白くないといった表情でトウマの話を聞いている。
 パラディアといえば、十字騎士団の本拠地。パラディアの恥は十字騎士団の恥とレツは聞いたことがある。
「ま、この国にいるうちは勇者じゃなくて、14歳の子供ってことでいーんじゃね?」
頭の後ろで手を組んで、サラリと言ってのけるトウマ。
「どーせここ出たら嫌でも勇者やんなきゃいけねーんだしさ」
そういって白い歯を見せて笑った。
 さすがにその発言に対してはタイガも苦笑していたが。
 カッツは無表情というよりは、すこしむすっとした表情でトウマとタイガのやり取りを見ていた。
「せっかくだし、タイガもカッツも羽のばそーぜ」
「いいの!?」
ベッドから身を乗り出して、キスしそうな勢いでレツの顔を覗き込むタイガ。
 レツが少し慌てた様子で首を縦に振ると、相当嬉しいらしくベッドを揺らして興奮している。
「そういうと思って、この周辺の地区の見学を許可しておいたわ。怪我が治ったら観光でもしてみたらいかがかしら」
ステラが合いの手を入れるようにいう。
 気が効くを通り越して、話の流れを先に読んでいたかのようなステラの言動にレツは驚きすら覚えていた。
 普通に考えればできすぎた話だが、その気遣いが今は嬉しかった。
「それでは私はこれで失礼するわね」
ステラは立ち上がると、ベガを連れ立って病室のドアへと歩き出す。
 慌てて見送りをしようと立ち上がるレツ。
 だがステラは気にしなくていいと右手で彼の肩に手を置いて椅子に座らせる。
 彼女は軽く頭を下げると、病室の外へと姿を消す。少し送れてベガも深々と頭を下げ、彼女の後を追った。
 レツ達の残された部屋に沈黙が訪れた。
「なぁ、レツ」
静寂を破ったのはカイルの言葉だった。
 レツが振り向くと、カイルが怪訝な表情をしてソファーの上で腕を組んでいた。
「どーしたよ、カイル?」
「光の国へ恩を売るためだとしても、この話妙にできすぎてないか?」
「そうか?チーコが裏で頑張ってるんじゃね?」
「そうだといいんだけどな……」
カイルは思わせぶりな言葉を残すと、深く考え込んだ様子で俯いてしまった。
 確かに彼のいうことにも一理ある。傷が癒え次第早急に国を出るように言っておきながらのこの待遇。
 チーコが裏でいろいろと手を回してくれてはいるんだろうが、それにしても手厚すぎるというか。
 しかし、今ここで自分達が考え事をしても何も親展はないわけで。
「いろいろ考えても仕方ねーし、とりあえずは休むことだけ考えよーぜ」
「……そうするほかなさそうだな」
レツの楽観的な意見に、カイルはため息混じりに答えた。
「普通の14歳かぁ……」
レツやカイルを尻目に、タイガは嬉しそうな、それでいて少し困惑した表情で呟いた。
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