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鎌使いの文章倉庫

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□ 小説本編その6【雷の平野で】 □

俺は世界を……【雷の平野でその16】

 彼女の言うとおり、ベガの見上げた方向で何かがキラリと輝いた。
 レツも彼女と同じ方向を見上げた瞬間、ベガが最初に呼び寄せたかのようなパーツの塊が目に飛び込んできた。
 最初のパーツよりも数が多く、羽のようなものすらついている。
 どこなく空を飛ぶ鳥にも見える。
 アレが恐らく彼女の言っていたアルタイルなのだろう。
 ベガはそれを見上げると、タイミングを合わせて再び大地を蹴った。
 そんな彼女に吸い込まれるようにアルタイルと呼ばれた飛行体が突っ込んでいく。
 ブブリィもそんな彼女の様子に気付いたのか、回転を止め彼女の動きを注視する。
「エンゲージシークエンスに移行、OS、アルタイルシルエットに最適化開始……完了。FCS、運動野をアルタイルに連動」
再びブツブツ喋りながら、ベガはアルタイルとの接続を開始する。
 青色の翼に、両肩、腰には光の矢が発射されるのであろう銃口が輝いている。
 最後に銃と盾を装着すると、ブブリィに向かってその銃口を向けた。
「これが最終警告です。即座に国外へ退去することを命じます。さもなければ……」
ベガが言い終える間も与えず、ブブリィがその返答を熱線という形で返してきた。
 赤い熱線がベガに襲い掛かる。それを対して微動だにしないベガ。
 あのままではベガは熱線の餌食となってしまう。
「ベガ、よけろ!!」
レツが叫んだ頃には赤い熱線はベガの目の前にまで達していた。
 あの距離では回避することも、盾で受け止めることもできない。
 レツ達の目の前でベガが赤い熱線に包まれる。
 だが、ベガは爆発することも、熱線の威力でバラバラになることもなかった。
「さっきのあれ……か!!」
カイルの言うとおり、ベガは熱線を文字通り吸収すると身体の軸をブブリィの方に向ける。
 そしてさっきと同じようにブブリィが口から発した熱線を文字通り『反射した』。
 さっきとの違いといえば、前は反動でバックパックを損傷していたが、今回は傷一つついていないところだろうか。
 反射された熱線はブブリィの腹部の皮膚を大きく抉る。
 もう何度目か覚えていないが、ブブリィは地面に土煙を上げながら倒れこんだ。
「いまだ!!」
ブブリィの動きが止まったのを見計らって、レツはトウマが尻餅をついている場所に向かって走り出した。
 ブブリィが起き上がるにはかなりの時間がかかるはずだ。
 全力で走ればどうにか間に合う距離だ。
 距離にして50mほどの距離をレツは自分でも驚くような速さで駆け抜けていた。
「レツのあ……」
「トウマ、面倒だから動くな喋るな!!」
レツを見上げて何かを言おうとしたトウマを問答無用で担ぎ上げると一目散にタイガ達のいるほうへ走り出した。
 この状況で熱線を吐かれたら、トウマ共々こっちがローストポークになってしまう。
 ローストポークは好きだが、それは食べるのが好きなのであって、自分がそうなりたいわけではない。
「レツ兄ちゃん後ろ!!」
自分達の少し先でタイガが両手を千切れんばかりに振って自分の危機を教えてくれている。
 だがレツは振り向きたくなかった。
 今振り返っても、ローストになる瞬間が実感できるだけで、それ以外にいいことが何もないからである。
「やべーって、俺たちが焼肉になっちまうって!!」
自分の背中の上でそう言ってジタバタ暴れるトウマを強引に押さえつけ、何とかタイガ達の下へたどり着くレツ。
 入れ替わりにベガが前にでて、肩の砲身から赤い光線を放つと背後からブブリィが倒れた地響きが伝わってくる。
 丁度チーコとイレーヌが塹壕からのそのそと這い出てきているところだった。
「イレーヌさん、チーコさん、手持ちの魔法で最大の威力のものをあの魔物にぶつけていただけませんか?」
ブブリィを牽制するように青い翼を広げ、空に浮かぶベガがチーコとイレーヌに問いかける。
「それはいいけど……詠唱完了までに20秒はかかるわ。それまで誰が……」
「あの熱線は私が防ぎます」
イレーヌの懸念に、今までどおりの抑揚のない、それでいて力強い口調でベガが答える。
 さっきの熱線の反射や、一撃でブブリィを転倒させた火力を目の当たりにしていると不思議と説得力が沸いてくる。
 イレーヌやチーコはそれならといった様子で、それぞれに精神集中を始める。
「残りの皆さんもそれぞれに攻撃を開始してください。フォローは私がします」
ベガはそういい残すと、青い粒子を撒き散らしながらブブリィの頭上を押さえるように飛び立っていった。
「ここはベガの言うことを信じるしかねぇな」
レツの言葉に、その場にいた全員が頷く。
 レツ達はそれぞれに自分の武器を構えると、一斉にブブリィに向かって駆け出した。
 すでにベガはブブリィと交戦状態にあり、空中で熱線やパンチを華麗に回避し、さっきの3倍近い火力で手痛い反撃を加えていた。
 いままでのダメージと相まって、ブブリィの身体には無数の傷から血が流れ出していた。
「一番手行くぜ!!忍法鎌鼬、紅葉乱舞の術!!」
先陣を切ってトウマが巻物を口に銜え、印を素早く切っていく。
 トウマが巻物を地面に敷くと、巻物にかかれた文字が流れ出し、空中に鎌鼬という文字を作り上げていく。
 その文字が光ったかと思うと、真空の刃が一斉にブブリィに襲い掛かった。
 分厚い皮膚の前では大したダメージではなかったが、それでもブブリィの動きを封じるには十分すぎる一撃だった。
「要領はさっき教えたとおりだ。いくぞ、タイガ!!」
「うん!!」
トウマの脇をすり抜けて、カッツとタイガは前に出る。
 二人は勇者の武器を構えると、その力を解放するかのように白い光を放ち始めた。
 あれは力の解放……レツがそう思った瞬間にはすでに二人は己の武器の力の解放を完了してしまっていた。
 レツが止める間もなくブブリィに突っ込んでいく二人。
 カッツの斧と、タイガの爪がクロスし、ブブリィの胸に×の字の傷をつくる。
「うぎゃああああああ!!」
痛みに苦しみのうめきをあげるブブリィ。
 二人は空中で一回転して地上に着地すると、すでに二人の身体にあの白いオーラは漂っていなかった。
「見た見た?レツにーちゃん?」
ブブリィの目の前で嬉しそうに飛び跳ねる。
 敵の前だぞと注意しようとした時には、すでにブブリィはベガの攻撃によって転倒していた。
「カッツが教えてくれたんだ。短い時間だけなら力解放してもしんどくないって!!」
わかったから早くブブリィから離れてくれという心の声を聞いてくれたのか、カッツがタイガを引きずってブブリィから離れてくれる。
 地面に倒れこんだブブリィにベガが二丁拳銃のように両手の銃から光線を容赦なく叩き込む。
 もはやブブリィは苦しげな叫び声を出すことしかできないでいた。
 無限に続くかと思われたこの戦いにやっと決着がつく、レツの中で確たる確信が生まれる。
「急げ、イレーヌ、チーコ!!」
ダメ押しといわんばかりにカイルが盾から聖なる光を発してブブリィの目を潰す。
 それを合図に、イレーヌとチーコが一歩前に出た。
「其は天に座す星光、其は邪を払う神の鉄槌、其は夢という名の永久の輝き、我、光の女神アマテラスの加護の下、世の理を乱す全てのものを滅する光をここに求めん。今こそ放て、極光の矢!!」
「にゃんにゃんにゃにゃ、ふーふーふー、にゃんにゃんなおなおなおなー、にゃーにゃーにゃーにゃんにゃにゃん!!」
いつもより長いイレーヌの呪文の詠唱、いつもよりエキセントリックに踊るチーコ。
 レツも初めて目にするであろう、最強の攻撃魔法に思わず固唾を呑んで見守った。
「やめろぉー!!」
いつの間にか戻ってきたガオウが悲痛な叫びを上げる。
 その姿は満身創痍で、ステラに手ひどくやられたのは明白であった。
 彼を追撃するように無傷のステラが後ろから飛んで来るのが見える。
「ファンティリュージョン!!」
「グラヴィティブラスト!!」
ガオウの目の前で無情にも二人の魔法が発動した。
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