鎌使いの文章倉庫

□ スポンサー広告 □

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


* 「スポンサー広告」目次へ戻る
*    *    *

Information

□ 小説本編その6【雷の平野で】 □

俺は世界を……【雷の平野でその16.5】

 全方位から、もちろん自分の死角からをも含む攻撃にガオウは完全に手を焼いていた。
 殺人的な時間差、全包囲攻撃に銜えて、ステラ本人の狙撃も加わるからだ。
 運良く近づけたとしても、その瞬間には彼女の蹴りが炸裂している。
 彼女とバックパックの質量に加えて、推力も加わっているのだからガオウをもってしても決してダメージは低くない。
 離れようにも、彼女は自分が1ステップで踏み込めない距離を着かず離れず移動してくる。
 進退窮まるとはまさに今の状況のことだった。
 そんなことを考えているうちに、再びガオウの周囲を突起が取り囲んだ。
「クソッ!!」
最初の三発は避けきったが、4発目がガオウの肩をかすめる。
 ベガから受けた肩の一撃のダメージが抜け切っておらず、反応が僅かに遅れたのだ。
 そんな掠り傷がガオウの全身にできていた。
 自分のように一撃で決着をつけない、持久戦タイプの恐ろしさをガオウは改めて思い知らされていた。
「最終警告よ。退きなさい、いまなら見逃すこともできるわ」
突起を自分の背中のバックパックに呼び戻したステラが、静かで、それでいて重たい口調で語りかけた。
 その瞳からは自分のような闘志など微塵も感じられない。
 まるで機械のような女だ。
「なんだよ、俺と戦うのが怖いのかぁ?」
「……無駄に命を奪いたくない。それだけよ」
自分が挑発をしたつもりが、ステラの言葉に自分自身が激昂してしまっていた。
 まるで自分が勝つと言っているかのようなステラの態度が気に喰わなかったのだ。
「俺はてめぇに負けねぇ!!」
「……貴方が勝っても結果は同じなのよ」
まるで戦う意思がないかのようなステラの言葉。
 彼女の言葉の真意など、戦うを楽しむことしか頭にないガオウにとっては世迷言でしかなかった。
 再び突起が分離し、ガオウに襲い掛かる。
 このまま逃げ回っていても埒が明かない。ガオウは捨て身の戦法に出た。
 防御の姿勢を取りながら、全包囲攻撃を正面から突破する戦法にでたのだ。
 何本かの光の矢がガオウの身体を貫く。
 だが、適切な防御姿勢を取っていたおかげでどれも致命傷には至らなかった。
 最後の光の矢を爪で振り払って、ステラとの直線に何もない空間にでたガオウ。
「勝負だぁぁ!!」
痛みを忘れて地を蹴り、ステラに襲い掛かる。
 あの位置なら、加速距離が必要な蹴りも間に合わない。
 一か八かの勝負に勝ったガオウは、一瞬でステラとの距離を詰めた。
 ここまで接近してしまえば、突起の攻撃はステラを巻き込みかねないので封じられたも同然。
 その証拠に突起の攻撃は、自分がステラに肉薄してから一度も襲ってこない。
 このまま格闘戦で沈めれば……ガオウはありったけの力を爪に込めた。
「牙王天翔ぉぉぉぉぉ!!」
ガオウの渾身の一撃がステラに振り下ろされる。
 ステラもその一撃を察知して右手のガーダー状の盾でその一撃を受け止める。
 盾と爪が激しくぶつかり、激しい火花を散らす。
 容易く引き裂けると思った小型の盾はガオウの一撃を完全に受け止めていた。
 想定外の展開にガオウの動きが一瞬止まる。
「な!?」
「戦わなければ生きられない、貴方の立場はわかるわ。でも、私もここで明日を摘み取られるわけには……」
目の前でステラの冷めた瞳が光る。
 やばい、そう思った瞬間ステラの左手に握られた光の刃が横一文字になぎ払いの一撃を繰り出してきた。
 とっさに防御の姿勢を取ったものの、その一撃はものの見事に腹部に直撃していた。
 筋肉と毛皮に阻まれ傷こそつかなかったが、それでもダメージは十分内臓に伝わっていた。
 落ちるように降下し、四本足で落下の寸でのところで着地したガオウ。
 胃からこみ上げてくる血を必死になって飲み込んだガオウは、険しい表情でステラを見上げた。
「こいつ……強い!!」
今更ながらにその事実を痛感させられるガオウ。
 一撃一撃はダメージは低いが、その積み重ねが奴の強さ。
 常々雷の国に手を出すなといわれ続けてきた理由をガオウは今になって理解したのだ。
「とんだ管理人だぜ!!」
お約束どおりに襲い掛かる突起の追撃をガオウは重い身体を引きずって回避する。
 それでも何発かは回避できず、ガオウの身体に激痛が走った。
 たしかにこのまま持久戦に持ち困れば、死ぬのはこっちだ。
 ここは退くのが定石なのだろう。しかし、ここで退くわけにはいかない。
 なぜなら自分以外にも戦うものが……。
「ブブリィ!?」
ブブリィのことを考えた瞬間、彼の近くでとんでもない量のマナが集結していくのを感じた。
 それも二つ。どう考えてもブブリィのものではない。
 つまり、ブブリィの近くで最高位の魔法が二つも発動しようとしている。
「やばいぞ、これは!!」
考えるよりも早く体が動いていた。
 背を向けた瞬間ステラと突起から光の矢が襲い掛かったが、それを強引に爪で払うと、ありったけの力を足に込めてガオウは走り出した。
 急げ、このままだと手遅れになる。
 鉛のように重い身体にガオウは必死に心の声をかけ続けていた。
スポンサーサイト


* 「小説本編その6【雷の平野で】」目次へ戻る
*    *    *

Information


+
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。