鎌使いの文章倉庫

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□ 小説本編その7【カイルと三つ子の勇者】 □

俺は世界を……【カイルと三つ子の勇者・その3】

「うおおおおおおおお!!」
俺は本能で剣を振り下ろした。
 まさか俺が攻撃してくるとは思っていなかったのであろう、銀髪の勇者はひどく驚いた様子でその場から飛びのいた。
 剣は空を切り、ぬかるんだ地面に突き刺さる。
 だがそれでよかった。
 赤髪の勇者から奴を引き離せればそれでいいのだ。
 俺は地面に這いつくばったままの勇者を左手で抱えると、残った片手に握った剣を銀髪の勇者に向けた。
「てめぇ、いきなり斬りかかるなんざ騎士失格だろうが!!」
「同じ勇者を手にかけようとする輩に言われる筋合いはない!!」
俺は銀髪の勇者に怒鳴り返した。
 とにかく今は眼帯の男が言っていた教団からの指令とやらを信じるしかなかった。
 これでもし眼帯の男の言い分が嘘の類だったら、俺は後世までの笑いものだが。
「おいこら!!賞金横取りしようとするんじゃねぇ!!」
「あんた、自分の勇者が殺されようとしてたんだぞ!?助けるのが普通だろう!!」
「こんな雑魚、使い物にねらねーんだよ!!斬られたら斬られた瞬間だけでも隙ができるだろうが!!」
こいつ狂ってやがる……俺は眼帯の男に対してそういう印象を抱いた。
 勇者は人類共通の財産なのに、それを弱いからって捨て駒にするなんて……。
 それよりも私利私欲のために勇者を捨てるなんて、従者にあるまじき行為だ。
 万死に値すると言っても過言ではない行為だ。
 グレンギリーといい、従者ってのはこんな連中ばかりなのか?
「おい、大丈夫か!?」
「あ……う……」
声をかけてみたが、まだ昏倒から覚めやらないといった様子だ。
「クソったれが!!さっさと戦え!!」
眼帯の男は尚も怒号を上げる。
 その声に反応するように、赤い髪の勇者は俺を跳ね除けてふらつきながらも自力で立った。
 緑の髪の勇者もブーメランを杖代わりにして立ち上がっているし、青い髪の勇者も泥だらけになって立ち上がっていた。
 良くも悪くも従者に忠実なのが勇者なのだ。
 タイガのようなケースがレアなのだ。
「この距離ではずしたらぶっ殺すぞ、撃て!!」
眼帯の男が命じると、赤い髪の勇者は双剣の柄同士を連結し、弓のように持ち替えた。
 緑の髪の勇者も、三日月状のブーメランの持ち方を変え、弓のように構えている。
 青い髪の勇者の武器も、先端の刃の部分が傾き弓のような形になっており、勇者がそれを持って構えている。
 光でできた細い糸が弦のように弓の両端を結ぶ。
 俺が予想したとおり、三人の勇者はその光の糸を指で摘むとゆっくりと引き絞った。
 それと同時に、三人の弓にそれぞれの髪の毛の色と同じ光を放つ矢がブゥンという音と共に現れた。
「当たれぇ!!」
赤髪の勇者が叫ぶのと同時に、三人が一斉に弦から手を放す。
 指から離れた弦は普通の弓と同じように、元の姿に戻ろうとする力を利用して光の矢を放つ。
 その矢の先にいたのはもちろん、銀髪の勇者だ。
「うおわっ!?」
銀髪の勇者はひどく驚いた様子で身体を反らして二発を避け、最後の一発は自分の剣で弾き飛ばした。
 どうやら飛び道具をゆうしているとは予想していなかったらしく、さっきまで余裕に満ちていたその表情は僅かに焦りが生まれていた。
 すかさず第二射のために弦を引き絞る三人。
 再び弓に光の矢が宿る。
 次の攻撃で多少なりとも手傷を負わせることができれば……。
「撃て!!」
まだ弓が引き絞りきれていない状態で、男が命令を出す。
 威力よりも追撃の間隔を優先したのだろう、自分にどうこうと口を出す権利は無い。
 さっきよりは勢いの無い矢が勇者に襲い掛かる。
「くそ!!……なーんてな」
再び銀髪の勇者の口元が卑しく歪む。
 光の矢は勇者の目の前で何故か停止していた。
 いや、厳密には矢そのものは前に出ようとしているが、何かがそれを阻んでいるように見える。
「そっちが武器の力を使うのなら、こっちも使わなきゃフェアじゃないよなぁ!!さぁ、俺に悲鳴の歌を聞かせろ、イペタム!!」
銀髪の勇者は刀を天に掲げるとそう高らかに叫んだ。
 イペタム、それがあの剣の名前なのか?
 そう思った瞬間、銀髪の勇者が手にした剣から禍々しい光が溢れ出して来た。
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