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鎌使いの文章倉庫

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□ 小説本編その7【カイルと三つ子の勇者】 □

俺は世界を……【カイルと三つ子の勇者・その4】

 光の矢が禍々しい光によって握りつぶされる。
 銀髪の勇者の周囲には白い煙のような塊がいくつも漂っていた。
 苦痛に歪んだ顔のような模様が浮かんでいるなんとも気味の悪いものだ。
 それに時々呻き声のようなものまで聞こえて来る始末で、俺は思わず背中に悪寒を感じて身を震わせてしまった。
「バカ野郎!!どんどん撃て!!」
眼帯の男がひどく狼狽した様子で叫ぶ。
 それと同時に三人の勇者が矢を連射する。
 何発もの光の矢が勇者に向かって放たれる、だがその全てが人の顔の形をした白いモヤによって受け止められ、へし折られてしまった。
 その後も矢を放ち続けるが、数を重視して一発一発の威力が低いために白いモヤを突き抜けられないでいた。
 時間の経過と共に、白いもやの数が増えていく。
「アレは……なんて悪趣味な……」
後ろにいたイレーヌさんが言葉を漏らす。
「ハァハァ……」
「も、もう……」
「げんかい……」
長時間の使用は身体に負担がかかるのだろう、三人の勇者は撃つのをやめて地面に膝を着いた。
 全身から滝のように汗を流し、肩で息をする様はこちらからすると見ていて痛々しい。
 眼帯の男がそんな勇者を冷ややかな目で見ていたと思うと、突然勇者に向かって歩き出した。
「おい、こら誰が休めって言った!!」
眼帯の男が一番手近にいた青い髪の勇者にツカツカと歩み寄ると、膝を着いている勇者の腹部を思い切り蹴り上げる。
「ぐあっ!!」
蹴り上げられた勇者は潰れた声を上げて吹っ飛んで転がると、地面に蹲った。
 勇者とはいえ、身体は普通の年相応の子供と大差ないはずだ。
 あんな大男の本気の蹴りを腹部にくらったら立ち上がれるはずが無いのだ。
 だが、眼帯の男がそれが気に入らなかったらしく、青い髪の勇者の腹部をなおも執拗に蹴り続けた。
「誰が休んで良いと言った!?ああ!?」
「ごめんなさっ!!もうしま……ゆるしっ!!」
青い髪の勇者は必死に許しを請うが、眼帯の男は聞き入れる素振りもなく、執拗に腹部に蹴りを叩き込んでいく。
「ひ、ひでぇ……」
トウマが後ろで声を漏らしたのが聞こえた。
 自分は後ろで指示を出すだけで、失敗したら感情的に勇者に当り散らして……。
 勇者の従者なら、勇者に何をしてもいいのか?貴様は何様のつもりだ?
 俺の中でそんな言葉がマグマのような感情と共に吹き上がってきた。
「真ん中にーちゃ!!」
緑色の髪の勇者が震える膝を手で押さえながら立ち上がると、蹴りを入れられている勇者に声をかける。
 だが、眼帯の男はそんな声に耳を傾ける事も無く蹴りを続けている。
「ビービー喚く暇があったら、さっさとその勇者やっちまうんだな!!いつもみたくトロトロしてると、大好きな真ん中にーちゃんが内臓蹴りだされて腹ん中カラッポになっちまうぜ!!」
「う……うああああああああああ!!」
緑の髪の勇者は三日月状のブーメランを手にすると、無謀にも一直線に銀髪の勇者に向かって突っ込んでいく。
 銀髪の勇者を守るように白いモヤが前方に集結する。
 やばい、あのままじゃ銀髪の勇者の思うつぼだぞ!?
「ああああああああああああ!!」
「お客様一名、ご自分からご来店でーす」
そう言うと、余裕たっぷりにおどけた様子で舌を出すユダ。
 一直線に突撃した勇者に白いモヤがまとわりつく。
 モヤそのものは真綿のように手で簡単に引き千切れてしまう程のものだったが、一つ千切る間に別のモヤが2つ、3つと勇者の身体にまとわりついていく。
 間もなくして勇者はくもの巣に引っかかった昆虫のように白いモヤの集合に絡め取られ、空中に持ち上げられていた。
 モヤから逃れようと必死にもがくが、さらに身体にモヤが巻きつき体を縛り上げていく。
 まるで真綿が身体を締め上げているかのようだった。
「に、にーちゃ……たす……」
苦しげにうめきを上げる勇者。
「弟を……放せぇ!!」 
今度は赤い髪の勇者が双剣を手にして銀髪の勇者に突っ込んでいく。
 それに反応して彼にモヤが付きまとう。
 彼はそれを一つ二つと切り払って前に進もうとしたが、その間に他のモヤが彼の手足に纏わりつき自由を奪う。
 必死にもがいて引き剥がそうと悪戦苦闘しているが、完全に絡め取られるのも時間の問題だった。

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